光の多重や分配による光レベルの変化

Contents:

基礎:ツールの使い方

bcの使い方

$ bc -l
l(1)
> 0 < 自然対数を取る
l(2)/l(10)
> .30102999566398119521
define ln(x) {return l(x)/l(10);}
# 常用対数
define mw2dbm(x) {return 10 * ln(x);}
# mWをdBmに変換する
# define pow(x,y){return e(y*l(x));}
> bcの"^"は2項目が整数でならなければならない
# define dbm2mw(x) {return pow(10,x/10);}
> dBmをmWにする
ln(2)
> .30102999566398119521
mw2dbm(4)
> 6.02059991327962390420
dbm2mw(6)
> 3.9810717051
for (i=0; i <= 10; i++) print i," mW = ",dbm2mw(i)," dBm\n"
> 0 mW = 1.0000000000 dBm
> 1 mW = 1.2589254116 dBm
> 2 mW = 1.5848931923 dBm
> 3 mW = 1.9952623147 dBm
> 4 mW = 2.5118864312 dBm
> 5 mW = 3.1622776598 dBm
> 6 mW = 3.9810717051 dBm
> 7 mW = 5.0118723357 dBm
> 8 mW = 6.3095734442 dBm
> 9 mW = 7.9432823464 dBm
> 10 mW = 9.9999999990 dBm

補題: 数学II

a = x^{y} \Leftrightarrow log_{e} a = y log_{e} x \Leftrightarrow a = e^{y log_{e} x}

また、

log_{e} a = b  \Leftrightarrow  a = e^{b}

である。

はじめに

本稿では次のようなことを論理的に検討できるようになることを目的とします。

  1. 光を合波するフィルタに-5dBmの光を4波入れたところ、多重側で0dBmと観測されたが適当な数値なのだろうか?
  2. ”-9dBmと-12dBm”、”-1dBmと-4dBm”はそれぞれ3dBの差があるがこれはどういう意味か?
  3. 7:3分配の光スプリッタに-3dBmの光をいれたらそれぞれどのくらいのレベルが適当なのか?

定義

以下の点は定義です。

  • 0dBm = 1mW
  • dBmという単位は0dBmを1mWとした時の比を常用対数で表した10倍の値

また、Wはエネルギー量であるため、次のことが言えます。

  • x(mW)とy(mW)の光を合波するとx+y(mW)となる

光レベル

dBmという単位は0dBmを1mWとした時の比を常用対数で表した10倍の値です。式は、

10 log_{10} \frac{y}{1} = 10 log_{10} y

で表されます。 ここで最初のlogの対象の分母が1なのは1(mW)を基準としているからです。すなわち、 10mWのとき

10 log_{10} 10 = 10 \times 1 = 10(dBm)

100mWのとき

10 log_{10} 100 = 10 \times 2 = 20(dBm)

0.1mWのとき

10 log_{10} 0.1 = 10 \times -1 = -10(dBm)

となります。

合波したときのレベル

いま、X(dBm)で表されるx(mW)の光をy(波)合波した時の 合波後の光Z(dBm)の光レベルz(mW)を考えます。 XとZは、定義からそれぞれ次の通りになることは自明です。

X = 10log_{10}(x)

Z = 10log_{10}(z)

ここで、z = xyは自明です。 なぜなら、zはxの光をy本束ねているからです。

両方のlogをとり両辺に10をかけて、ZとXを置き換えます。 となります。 これらを式であらわすと、

z = x * y

log_{10}(z) = log_{10}(xy)

log_{10}(z) = log_{10}(x) + log_{10}(y)

10log_{10}(z) = 10log_{10}(x) + 10log_{10}(y)

ここで、上記のとおり、左式と右式の1項目はZ,Xに置き換えられるため、

Z = X + 10log_{10}(y)

となります。

具体的な例

まず、最初にいくつかの数値のlogの値をとり10倍します。 つまり、-4dBmの光を何波か合波したとき

1波なら -4
2波なら -4 + 3   = -1(dBm)
3波なら -4 + 4.7 =  0.7(dBm)
4波なら -4 + 6   =  2(dBm)
5波なら -4 + 7   =  3(dBm)

になりますし、もしも-10dBmの光を何波か合波したとき

1波なら -10
2波なら -10 + 3   =  -7(dBm)
3波なら -10 + 4.7 =  -5.3(dBm)
4波なら -10 + 6   =  -4(dBm)
5波なら -10 + 7   =  -3(dBm)

になります。 ポイントは光の強さがいくつでも、たとえば4波多重したら+6dBになる点です。 これを逆にいえば、たとえばある値から3dB減衰したとすると光レベルは半分に、 4.7dB減衰していると3分の1になっているといえます。

冒頭質問に対するの検討

Q. 光フィルタに-5dBmの光を4波入れたところ、
   多重側で0dBmと観測されたが適当な数値なのだろうか?
A. 上記の通り、4波合成すると+6dBになるため、
   理想的には+1dBmになります。そのため理想環境に比べて1dBの損失があります。
   ケーブルの損失、コネクタのロスを入れると、”異常ではない”と判断できるかと思います。
Q. ”-9dBmと-12dBm”、”-1dBmと-4dBm”は
   それぞれ3dBの差があるがこれはどういう意味か?
A. 両方とも-9dBm,- 1dBmそれぞれに対して半分のレベルに減衰しています。
   3dBの減衰とは光レベルが約半分になったことを示します。
Q. -3dBmの光を7:3で分配したとするとき、それぞれにはどのくらいの光レベルが期待されますか?
A. それぞれ、0.7波分と0.3波分の光と考えればいいので以下の通り減衰します。
   -3dBmの入光なので、-4.5dBmと-8.2dBm程度で分配されることが期待されます。

7: 10log_{10}0.7 = -1.5

3: 10log_{10}0.3 = -5.2

逆の計算方法

X(dBm)からx(mW)への変換は次の通り示されます。

x = 10^{\frac{X}{10}}

スプリッタの例を試しに確認します。

-3(dBm): 10^{-0.3} = 0.501(mW)

-4.5(dBm): 10^{-0.45} = 0.355(mW)

-8.2(dBm): 10^{-0.82} = 0.151(mW)

値を丸めているのでぴったりと一致しませんが、 0.355 + 0.151 = 0.506 でおおよそ元の値となることがわかります。